新田選手&斯波選手
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《新田佳浩 選手 プロフィール》

1980年6月8日生まれ 岡山県英田群西粟倉村出身
ノルディックスキー選手 日立ソリューションズスキー部所属
種目:クロスカントリー、バイアスロン
冬季パラリンピック5大会に連続出場

2002年 ソルトレイクシティ クロスカントリースキー
5kmクラシカル 銅メダル
2010年 バンクーバー クロスカントリースキー
10kmクラシカル立位 金メダル
クロスカントリースキー1kmスプリント立位 金メダル
2014年 ソチ クロスカントリースキー
20kmクラシカル立位 4位
《斯波正樹 選手 プロフィール》

1986年4月26日生まれ 山形県山形市出身
全日本スキー連盟 スノーボードアルペン 強化指定選手

2001年 ISF Junior World Champs in Italy PGS 優勝
2010年 FIS 全日本選手権 PGS 優勝
2014年 W杯団体 モンタフォン(オーストリア) 3位
2015年 ヨーロッパカップ ログラ(スロベニア) 2位
2015年 ヨーロッパカップ ラチングス(イタリア) 4位
2015年 FISレース 札幌(日本) 1位
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~ チームと自分 ~

マザー これまでスキーやスノーボードは完全なる個人競技だと思っていたのですが、遠征試合や合宿、用具のメンテナンスなどの 話を伺っていると ”チームとして” 動いて戦っているのかなと言う印象に変わったのですが、その辺はいかがでしょうか?

新田選手 チームとして・・・だよね。

斯波選手 僕もチームとして強くなりましょうって最近言い続けてますよ。

新田選手1
新田佳浩 選手
新田選手 1人の選手が確実に金メダル取れそうだ!ってなった時に、その個人にだけ投資するのも良いんだけど、 その選手が辞めた後、同じ競技のチーム側には何も残らない訳ですよね。でも、それまで培ってきた考え方とか、メンテナンスの機材なんかを チームに残しておける状態にしてあれば、また新たな選手が来た時にも使えるようになるんだから。そういう事が若手選手の為になるんじゃないかと思うんだよね。

斯波選手 仰るとおり!異議なし!

新田選手1
マザー なるほど。後進の育成も含めて、本当にチームとしての活動なんですね。

新田選手 例えば、トレーニングの方向性をどうして行くか、どう判断するかって考えた時に、 僕は 「コレが絶対正解!」 っていうのは無いと思ってるから、常に疑ってかかるというか。現時点で出来る事は精一杯やっているのかもしれないけど、 それでも勝てない現状もあったとしたら、そこをどう打破しなきゃいけないのかと常に考えていかないと。 例えばもらえる板は素晴らしい板かもしれないけど、この滑走面を改造したり、何か出来ないのかな?とか常に考えたりしているし、 それをチームの人と一緒に考えて行きたいしね。

斯波選手 本当にそう思います!僕も常に疑うっていう言葉が良いのか悪いのか分からないけど・・・ その物事の本質というか、中立な目でこれが良いのか悪いのかって判断を常にしていかなきゃいけないと思うんですよね。


マザー 何かを否定したいが為の判断じゃなくて、世界一になる為の冷静な分析と意見と言う意味ですよね。

新田選手 技術もそうでしょ。そうやって常に変わって、こう言うやり方をした方がもっといい方向に 進むんじゃないかな?って考えながらやって行ったら、色んな可能性って広がると思うし。

斯波選手 本当にその通りだと思う。それを組織の中でちゃんと 『僕はこう思います。ただ、個人を否定している訳じゃなくて、 この物事に対してこう思うから、もっとこうした方がもっと良くなるんじゃ無いでしょうか?』 っていう建設的なやり取りが出来るようにするというのも、 そういう環境が必要だと感じている僕等のような選手達が作っていかないといけないと思うんですよね。

マザー それは凄く大切なことだけど、凄く大変なことでもありますよね?

斯波選手 人間って楽な方に流れていく傾向があるから、結局は建設的になれずに行く事があると思うんですけど、 それだと成長が止まっちゃうから。ちゃんと 『ここが問題点だと思う。だからこの問題点を潰して行こう!』 っていうことを、 皆が言い合えるようになったら、絶対強いチームになっていくと思うし、強い選手になると思う。

新田選手 建設的にね。やりたいと思っても選手は時間的に制約があったり、結果を出さなきゃいけないとかも当然あるんだけど、 何かを動かす為には熱意が必要かなって。熱意がある人達がどんどん集まっていくことによって、更に変わっていくと思う。 熱意を持ち続けること自体も組織の中に居たら難しい部分もあるかもしれないけど、想いを持った人がどれだけ集まれるかっていうので 大きく変わるような気がするから。

マザー 本当にそうですよね。

新田選手 あとね、自分の競技やチームに全く関係ない人の 『実はこういう風に思ってる』 とか  『こんな事をやっている』 って言ってくれたのがヒントになったりすることもあるかなって。意外に自分達の世界でコレが常識だ!って思っていることが 他の世界だったら非常識だったりとかするでしょ?そこが気付きのポイントにもなったりするから、そういう意味では色んな人に会ったり 話したりして行く事が自分の知識も広められることに繋がって良いなって思うんだけど。


~ 根性と理論、気合と経験 ~

斯波選手 僕も今まで意見を言っても文句ととられてしまうということがあって。 だからこそ上手くわかってもらえるような言い回しをしようと考えたりしているんですけど・・・  “ここはちょっと言わない方が良いかな” とか、言わないことに慣れて来ちゃうと危ないと思うんですよね。

マザー それは、一般的な社会でも非常に多い傾向ですよね。

斯波選手

斯波選手競技写真


斯波選手 結局人間って弱いから楽な方、楽な方に、行っちゃうと思うんですよ。凜としていないと。 組織の中に居ると ”もしかしたら、こう言ったら干されるかもしれない。だったら言わないで置こう” ってそっちの方に考えたりしがちじゃないですか。 そういう自分も居て良いと思うけど、一方で、そこに染まらないで俯瞰して見れる自分も居なきゃいけないなって思うんです。  “絶対にコレは問題点だよな” ってちゃんと思って ”もっと改善していけるぞ!” っていう自分を持っていなきゃいけないなって。

新田選手 この年齢になって選手ではいるんだけど、今理事もやっていて(日本障害者スキー連盟)現場の考え方や 選手の想いとの温度差を感じる事もあったから、それを意見として出させてもらったり、 逆に選手が結果を出す為にスタッフたちがいい環境づくりをしている事とか、勉強をしている事があれば、 それを選手にも気付かせてあげる。そうするともっと別のエネルギーが湧いて来ると思うんだよね。 ただお互いにルーティンワークでこなすようになったら成長が止まるだけで・・・。 現状維持は衰退って言葉を使っている高校野球の先生が居て、 ちょっとでも半歩でも前で良いから自分達を変えていかなきゃいけないという言葉だと僕は受け止めていて。

マザー 常に動きを止めないということですね。

新田選手 今のこの現状で満足していたら次にもっと上に来る選手達っていっぱい出るだろうし、 瞬間的に勝つことだけじゃなくて、常に疑問を持ちながら “どうやったらもっと強くなれるだろう”  っていうことを選手自身もスタッフ達も考えていかなきゃいけないし。それがもっと現場だけじゃなくて、 協会や連盟も変わっていって最終的に “じゃ、どういう風に魅せたら観客が喜んでくれるんだろう”  って言うところまで考えていけるようになったらもっといい方向に進んでいくなーと思って。

斯波選手マザー 異議なし!!(笑)

斯波選手 その通りだと思います。 今まではガムシャラでやれ!とか、もっと泥臭くやれ!って言われる事が多かったんだけど、僕自身はそれがあんまり理解できなくて。 結果を出すことって凄く大事だと思うんですけど、僕は 『今ここが問題だからここを潰してやって、目指してるところはここだから、その為にこうしてこうして・・・』  って理論的にって言うのか、論理的にって言うのか、物事に筋道を立てて話しているつもりでも中々理解してもらえなくて、 結局“もっと死に物狂いでやらないと”って言われていたんです。 だからそういう風にならなきゃいけないのかな?だけど違うよな?って言うことの繰り返しで違和感を感じていたんです。

マザー あー・・・根性論パターンですね。

斯波選手 でも自分のやれることの手の届く範囲ってあるじゃないですか。無理して、背伸びして、息切れして・・・ っていうイメージじゃなくて、無理の無いところで精神的にも落ち着いた状態で出来るようなやれる範囲を着実に増やしていって、 ワールドカップとかを優勝できるような選手になりたいかなって。そこは根性と気合だけでは辿り着けない気がするんです。

新田選手 あー、分かる!自分の短所と長所を分けていて、長所を伸ばしていきながら、短所を削っていくか無くすようにして、 当たり前に出来るようにしていく範囲を増やすって言うことだよね。そこに費やす時間ってトレーニングの中であるんだから、 長所を伸ばす時間と短所や弱点を無くしていく時間を持てたら自然と伸びていくよねって発想でやって行った方が良いと僕自身も思っているから。

マザー 楽にキレイにって意味では、全く無くてね!!

斯波選手 そう。当然、苦しい練習をしない訳じゃないんだけど、苦しい練習も全部含めて、 自分がしっかりやれる範囲の材料を増やしていかないと、 “あそこに行きたいけど届かない!出来ないけどやんなきゃ! 頑張んなきゃ!気合で何とかしなきゃ!” って訳わかんない方向で進んじゃうと言うか・・・。  「気合入れろ!泥臭く行け!」 みたいな事を闇雲にやってもワールドカップでは優勝できないんじゃないかなって(笑)

新田選手 うん。そうだね(笑) 根性論を否定するつもりは全く無いけど、根性論か理論かって両極端だと思うんだけど、 その間、間を、上手い事とって行けば良いと思うし。例えばこの人が何でこの結果だったのかってきちんと説明できるのは理論派だと思うんだよね。 疑問を持てない人やチャレンジしない人は、良い部分を掛け合わせたらもっと良いものが出来るはずなのにそれを掛け合わせたりしない。 何で?って聞いても “上手く行くはずないから” って言ったりする。 “じゃ、それを実際やったんですか?” って思うの。

斯波選手 確かに(笑)

新田選手 でもやっぱり、こう言うときはコレが良いって事例をどんどん試して、どんどん潰して行かないと。 それをやって行ったら必ずもっと上に行けるはずだから。その為には確固たる理論と経験と両方が必要だと思うから。

斯波選手 それが選手とスタッフ達、両方の仕事ですよね!

新田選手 一番選手が弱いのは、成績を出し続けていかないと文句言われちゃうから出し続けなきゃいけないって言う・・(笑) でも、戦って行かない限り強くなっていかないし、日本が本当に世界と戦う上で絶対に必要なことだからね!!

マザー 成長のための議論とチャレンジ。私も絶対に両方が不可欠だと思います!!
では最後に今シーズンの目標をお聞かせください!

斯波選手  2018年の冬季オリンピックでメダルを獲れる選手になりたいので、 その為に先ず今シーズンはワールドカップで8位以上を目指します!この間、ワールドカップの団体戦で3位になって初めて表彰台にあがったんですけど、 個人でもあがりたい。

新田選手 個人で8位に入れるとオリンピックがほぼ手中に出来るもんね?

斯波選手 そうです。勝ち抜きのレースなんですけど、勝ち上がっていくと気持ちもどんどん上がっていくし、 ポンポンポンってその先までいけそうな気がするんです。

新田選手 ブレークスルーしちゃう感じ?

斯波選手 そうそう!だから先ずは8位以上!

新田選手 僕は平昌(ピョンチャン・2018年 冬季五輪)に向けてしっかり戦える身体を今年から作ろうと思っています! それと、連戦すると言うよりは、確実に狙ったレースで3位以内に入る。全部が良い成績じゃなくて良いから、 自分が狙っているレースにしっかりパフォーマンスを出せるようにするって言うのが目標かな!

マザー なるほど。お二人ともありがとうございます!

お二人の目標が達成できるように、今後も益々サポートして行きたいと思います!!
海外遠征続きでお忙しい中、本当にありがとうございました!!